環境負担金とは
ホールアース自然学校が1998年のホールアース自然学校沖縄校の開校を機に開始した制度です。この『環境負担金』制度は、自然体験活動にともなう地元への寄付金制度として、わが国で初めての制度として知られるようになりました。 具体的には、自然体験活動プログラムに参加した参加者1名あたり200円の寄付を地域ないし、非営利・公共機関などに寄付する制度のことです。 この目的は、自然体験活動に関わるそれぞれの主体《主催者(ガイド)・参加者・地域住民》が、自然体験活動を通して、地域の自然や文化、伝統の保全・発展などに積極的にかかわることを後押しする為のものです。
・ 制度の主唱者である主催者(ガイド)にとっては、自分たちがフィールドとして使わせていただいている自然環境が将来に亘って持続的に保全されることを第一義的に配慮すべきであり、そのための具体的な行動のひとつです。
・参加者にとっては、従来の『旅の恥は掻き捨て』的に観光資源を消費してきたスタイルとは違って、自らが自然体験プログラムに参加したことそのものが、美しい自然環境や心に残る地元の暮らしの保全にわずかでも役立つことになるという充実感をもてる効果があり、それによって、さらに訪れた土地のファンになっていくことが確かめられています。
・地域住民にとっては、生活の地に他人が入り込んでくる不快さや、トイレとゴミばかり溜まるといった悩みから、観光客を迷惑に思う感情が従来、どこの地域でも見られました。 また、大事な山や森に人が入り込むことで荒らされる心配も強くあります。 しかし、『環境負担金』制度を取り入れた自然体験活動ならば、地域の暮らしや環境への配慮がされている安心感があることや、プログラムが自分たちとまったく無関係ではなく、『寄付』という形で全参加者(観光客)が地域とつながっている実感が生まれ、積極的に受け入れ努力をしていただけたところが複数地域で生まれました。
環境負担金の仕組み 『環境負担金』はホールアース自然学校のプログラムに参加する一人あたり、200円が地域などに寄付される仕組みです。 これは、ホールアース自然学校にとってはプログラム費用のうち、200円を『環境負担金』として支出していることになります。そのことで、フィールドを自ら選択し、使用させていただいた主催団体としての社会的な使命に応えようと考え、取り組んで来ました。 同時にこの200円は、参加者にとっても上述したように、積極的に環境保全へのアクションに加わった実感がうまれ、そこの地域や自然環境を特別に大事にする意識に向かってきます。こうして、200円がさまざまな位置付けを持ち、効果を生んでくれます。
すでに沖縄校(がじゅまる自然学校)の累計で2016年4月現在、1200万円に達する寄付となりました。 環境負担金のひろがり 沖縄のやんばるで始まったホールアース自然学校の『環境負担金』は、エコツアーの盛んな地域の多くで導入が検討されています。海外でも良く知られ、高く評価されてきました。
ホールアース自然学校の本校がある富士山地域では、河口湖が湖面を利用する人に200円の利用税をつくりました。やんばるでも比地大滝では入場料制度が作られ、地域の運営に使われています。名称はいろいろですが、いずれも200円に統一されています。
ただし、ホールアース自然学校では、自然体験活動を行う全ての団体、個人が『環境負担金』を始めるように求めるつもりはありません。 これは、持続的な活用につながるさまざまな手法のひとつに過ぎないからです。 ホールアース自然学校ではこの方法が今のところ効果的であると思い、続けていくつもりですし、同時に沖縄県自然保護課と組んで策定した「自然体験活動ガイドライン」を広げていくことも大事な方法だと思っています。けれども、もっといろんな方法が生まれて誰もが自然や暮らしに配慮しつつ活動できればどんなにいいでしょう。
2005年度はがじゅまる自然学校が所在する地域の真喜屋小学校で、児童が課外活動時に使用するワゴン車購入の為、「真喜屋小ワゴン車購入委員会」を設立し購入に向けた活動を行っていました。がじゅまる基金と致しましては地域の為の活動を判断しがじゅまる基金からの寄付を行いました。
環境負担金の課題 『環境負担金』にはさまざまな課題があります。 寄付先の選定や使途の明確化など、批判もあります。 あるいは一人200円といっても参加費に組み込まれた形なので、参加者にとって自主的に行う寄付という感覚とはならない点もあります。 また、200円出したからといって免罪にするのは傲慢だという批判もあります。 いずれも、正しい指摘だと思っています。ですから、今までもさまざまに試行錯誤しながらやってきました。
今後も形を固めることはしません。 寄付先の選定ではすでに適切な受け取り先があり、適正に使われている地域には従来どおりすすめ、受け取り先が不安定で、使途も未定の地域に対してはいったん寄付先を決めずにプールして置き、基金として積んでいくか、適正な受け取り先を見つけて行うか考えていくつもりです。このさい、使途についても出きるだけ環境保全や地域の発展につながる用途をつくっていただけるようお願いしていくつもりです。
参加者への啓蒙については、自然体験プログラムのガイドが『環境負担金』についてきちんと触れることで解決するでしょう。 そして、200円で免罪とする考えはわたしたちには毛頭なく、どのような自然体験活動も、教育目的であろうがレジャー的であろうが自然への負荷は避けられないということを常に念頭におきながら活動し、最善を尽くすしかないだろうと思います。 『環境負担金』制度は未熟ながらもわが国の自然体験活動にとって大事な一歩となったと思います。これからも大いにご意見をいただきながら制度の改善を進め、自然体験活動が地球の未来をつくるために役立てることを信じていきたいと思います。
近年の寄付実績
【地域】
真喜屋公民館、新里公民館、わんさか大浦パーク
・環境保全や集落活動などの自治機能の維持費に活用いただいています。
【関連団体】
ヌチシヌジガマ保存会
・環境保全や周辺整備に活用いただいています。
一般社団法人沖縄体験観光協会
・修学旅行生のための体験観光のルール作りや受け入れ体制の整備などに活用いただいています。
名護市観光協会青年部
・地域貢献事業や観光客の受け入れのための整備に活用いただいています。
|
▲top
Copyright (C) 2007 Whole Earth Nature School. All Rights Reserved.
|
|