【実施報告】里山つなぎ隊12月 植物の保全

生物多様性の保全に向けて、自分たちでも取り組める自然再生活動を様々な切り口で行う「里山つなぎ隊」
第2回目となる今回のテーマは、『植物の保全』

まずは、珍しい蝶を保護しようと奮闘されている方々の活動にメンバーの皆さんと関わってきました。

最初に、団体の会長をされている高瀬さんから、自分たちがこの活動をしている理由や想いをお話ししていただきました。
彼らは年間を通じ蝶の観察会や調査、パトロールをしながら、今回の様な保護活動もしています。

当初はナラ枯れの倒木を玉切りする予定だったが、予想以上の強風に吹かれてしまい断念。
後半に予定していた桂の植樹をさせていただきました。植樹は保護の対象となる蝶が、好む植物が育ちやすい環境を整えるための作業。

今回、住友林業さんから、植樹の際に食害から守る為のハイトシェルターを支える黒い支柱を提供していただきました。提供元の沢田さんも当日一緒に作業してくださいました。

ナラ枯れで空いてしまった空間で桂の木が育ち、甘い匂いが漂う、蝶が好む環境になればと願うばかりです。

植樹の後は富士山が見える場所に移動。そこでは人間の背丈ほどに成長したススキが、景色と他の植物の育成を阻害しています。
次はここのススキを、鎌を使いメンバーで刈りました。

綺麗に刈ると、富士山がお目見え。
バッチリと見えるようになりました。

午前中の作業を終了し活動を共にした皆さんとパチリ。
気持ちいい汗をかいて気持ちのいい時間でした。

お昼は高瀬さん宅へお邪魔して、最初に話していただいた想いなどに加えて、資料を見せてもらいながら詳しくお話を伺いました。

午後は柚野山の麓で、バタフライガーデンという、アサギマダラの好むフジバカマを中心に植えられた区画があり、ここが午後の活動場所となりました。
今年の2月から始まった新しい取り組みです。
まずは奥様の文江さんからここを作った経緯などをお話しいただきました。
全体で300.0㎡の敷地の中に幅30㎝程の通路があり、この通路で区分けされた37区画の小さな空間を、会員や会員以外の人に里親となってもらい、草刈りなどの管理をしてもらいながら、アサギマダラ以外の蝶も来やすいように数種類の植物を育てているのだと話してくれました。

用意された木の椅子に座りながら富士山を眺め、ゆっくりとした時間を過ごすことも可能です。

バタフライガーデンの中には常緑つる性植物のキジョランがあり、その葉の裏にアサギマダラは卵を産んでいました。
卵から孵った幼虫は木の葉を食べながら成長していきます。
その食べ方が面白いんです。
まずは円形に傷をつけ、木の葉に含まれる毒を出させます。
その後その内側をきれいに食べていきます。
きっとこうやって食べなさいと遺伝子の中に組みもまれているのでしょう。
実に面白い。

区画の中に植えられている花の中にボタンクサギというものがあります。
この植物は名前の通り葉は多少臭いますが、花はほんのりといい香りを放ちます。
しかし、この植物厄介なことに地下茎で繁殖するため、気づくと別の区画にまで伸びてしまっていました。
そのため少しでも区画からはみ出たものは掘り起こして別の場所(角)へ埋めなおしました。
埋め終わったところで時間がきたので本日はここまで。
来年もアサギマダラが訪れる季節にまたメンバーの皆さんと見に来たいですね。

次回の活動は2023年1月15日(日)『水辺の保全』
芝川の脇に生えるアズマネザサを刈り、水辺までの同線を確保したら、生き物の観察をしながらより多くの生き物が生息できるような環境に(くぼみを作ったり、流れを穏やかにしてみたり)整えていきます。
時間がたってどんな生き物が生息できるようになったのか一緒に実験してみませんか。

里山つなぎ隊隊長:廣瀬隼人