何気なく食べているお肉。
私たちを取り囲む木の製品。
どちらも私たちの生活に欠かせません。
今回のテーマは「いのちをいただく」
家畜動物と間伐材に焦点を当て、モノの背景を想像し、いのちの循環に思いを馳せる2日間になりました。
まずは、ニワトリ小屋の方へ。
ホールアースのニワトリは色んな品種がいて、色んな血が混ざるようにしています。
オスメスの数のバランスなどを考え、今回いただくのは、去年生まれた雄の1羽にしました。
心なしか、いつもと違う空気感を感じとっている気がします。
準備を終え、その時がやってきました。
緊張からか、なかなか難しい様子。
日常生活、いや、人生の中で、動物の命を自分の手で絶つ経験などあまりありません。
場所を確認したので、今度は大丈夫。
できるだけ命を活かすべく、丁寧にさばいていきます。
羽を取ると、体の形がよくわかります。ブロイラーよりも細身な感じがします。
皆で手分けしながら、「ここはどの部位か?」確認しながら進めていきます。
見比べるために買ってきた市販の鶏肉。
全く同じ個所なのに、上のホールアースのニワトリの肉と色も大きさも全然違います。
今夜のメニューは焼き鳥。
シンプルな味付けで素材の味をじっくりかみしめます。
これで下ごしらえは完了。
さて、お次は明日のローテーブル作りの準備。
今回は、5月のホールアースエッセンスで自分たちで伐倒したヒノキやスギを使って、ローテーブルを作ります。
この日のために材木屋さんで乾燥させ、加工してもらいました。
材の表面の丸み、いわゆる“耳”の部分があります。こういった部分はホームセンターにはないですね。
触ってみながら、間伐した時の森の風景が思い出されます。
材の大きさや質感、重みを確かめたら、お次は設計。
用途や置く場所に合わせてサイズを決めていきます。
PCを置いて作業するための材、晩酌でお供する台、木にとって、新たな“役割”が生まれていきます。
イメージもばっちりできたところで、そろそろ晩御飯の準備。
今夜は焼き鳥に加え、フキノトウや大浦ごぼうの天ぷらも。
じっくり焼いた鶏肉。お味はいかに?!
まず、噛み応えが全く違いました。市販の鶏肉はふわっとしてしているのに対し、ホールアースの鶏肉はとっても弾力があり、味が濃い印象。
鶏ガラや野菜のうまみが染み出したスープでラーメンも。
出汁がおいしいので醤油と塩などシンプルな味付けでも美味しく、優しい味がしました。
育ち方の違いでこんなに味が変わってくるのかと驚きながら、2種類の鶏を味わいました。
手羽先も自分たちで捌いて数が限られているせいか、なんだか貴重なものに感じました。
日ごろ食べているブロイラーの鶏肉も、もちろん同じ命なのですが、自分で姿を見ている分、感じ方が変わってきますね。
このあと、それぞれの仕事の話等、色々と話が弾み、ゆったりわいわいとした時間が流れていきました。
さて翌朝、ごはんは和食でスタート。
とろろかけごはんに、たまごやき、野菜の副菜色々、なめこのお味噌汁。
お味噌は自家製の味噌を使っています。
しっかり食べたら、早速机づくり!
教えてくれるのは、静岡の東部地域を中心に木材を使用した内装やオーダーメイドの家具作りをしている
MorizoWorks(モリゾーワークス)の廣瀬森さん。
木の特徴を教えてもらったら、厚みや樹種に加え、どこの木目を使うかも考えていきます。
ずっと使いたいもの。悩みますね。
大きさを測り、
工具の使い方を教えてもらい、
カット!
のこぎりだと厚みがある材を切るのは少し大変。意外と普段使わない筋肉を使うんですね。
集中し、体を動かして、疲れたところに甘いものを食べて休憩!
お昼ごはんまであとひと頑張り!
仮組。完成が見えてきました!
切りのいいところでお昼ごはん。メニューは鹿のミートソーススパゲティ。
体を動かしたからか、皆さん大盛りおかわり!
このテーブルは表に釘などが見えない仕様。
DIY初心者にとっては、初めての作業。
細部のこだわりで仕上がりに差が生まれます。
微修正をし、
組み立て、
隅々まで仕上げのやすり掛けをし、
完成!!
それぞれ世界に一つの作品ができました!
ふりかえりの時間。
2つの異なるアプローチで、いのちをいただくことを考えた2日間。
このプログラムで大切にしていることの一つ「手で覚えたことは忘れない」
鶏肉の感触や温度、木肌が滑らかになっていく過程、頭だけでなく、手のひらにも様々な記憶が残ったのではないでしょうか。
肉を見る視点が変わったり、モノの背景に奥行きが生まれたり、ほんの少しでも日常の豊かさに“エッセンス”を感じる場面が増えたら嬉しく思います。
来年度も、ホールアースエッセンスのプログラムは実施予定です。
3月中に概要公開予定です。
担当:小野