富士山麓の里山で、猟師の資格を持ったスタッフと一緒に猟師の体験する「GW富士山親子狩猟キャンプ」を実施しました。
昔ながらの狩猟は、仲間と協力をして山に入りシカ・イノシシを狩り、獲た動物は仲間と解体をして山分けをして大切に食べていました。
今回のキャンプでは、森にわなをかけ、捕まえたシカを解体し、いのちをいただく。そんな猟師の暮らしを親子で一緒に体験していただきました。



1日目、猟師の資格を持つスタッフ(あなご)と、その師匠であるベテランの地元の猟師
さん(親方)について行って、わなを設置しました。
今回は、板を踏むとワイヤーが脚に引っかかるという仕組みの「くくりわな」を使います。
まずは、森の中でシカの足跡やフンを探し、獣道を探します。目が慣れてくると、草が踏みならされ、シカの通った道が見えてきます。


獣道にわなを設置します。わなを隠した後に、シカの足跡をつけてみたり、板を踏みこむように手前に枝を置いてみたりと、シカと人間の知恵比べ。猟師さんの腕が問われます。
参加者の皆さんに見守られながら、次々とわなをかけられていきました。

森から帰ったら、夜ごはんです。
今回のキャンプでは「いのちをいただく」こともテーマの一つなので、さまざまなシカ肉料理を考えてみました。
一日目の夜ごはんは、シカのスジ肉を使ったジビエカレーです。
長時間煮込んだお肉は柔らかく、臭みもなく、「シカ肉と言われなければ気づかないかも」という声もありました。
夜は、生き物探しをする子どもたちと、焚き火を囲む大人たち。それぞれが自由に楽しめるのも、ホールアースの親子キャンプの魅力です。
さて、わなにシカがかかるのでしょうか?
期待に胸を膨らませて、一日目は終了しました。

朝ごはんのオープンサンドは、ローストビーフならぬローストシカをサンドしました。
ローストシカはシカのモモ肉を低温調理でじっくり火を通しているので、しっとり美味しくできました。脂身が少なく、ヘルシーですが、旨味が凝縮されています!

朝ごはんを食べたら、わな見回りにいざ出発!
かかっていたらいたで、ドキドキ。かかっていてほしいような、ほしくないような。
そんな複雑な思いで山を歩いていきました。
結果は…残念ながら、かかっていませんでした。
ところが、数日前に他のエリアで親方がかけていたわなに、シカがかかったとのことで、
止めさしを見学させていただきました。(わなで捕獲した野生鳥獣にとどめを刺すことを「止めさし」と呼びます)


わなには、若い雄鹿がかかっていました。
みな、心の準備をしたのも束の間、親方はあっという間にシカにとどめを刺し、
あまりにもあっけなく、目の前で消えていく「いのち」。
子どもも大人も一緒に、固唾をのんでその瞬間を見守りました。

止めさしの後は、みんなで一緒に搬出を行いました。


さっきまで生きていたから、まだ温かいね。

富士山麓ジビエの解体場へ移動し、捕まえたシカの内臓を出したり、皮を剥ぐ作業を見学しました。「人間と同じ臓器だ」「内臓は思ったより血で赤くないね」と、じっくりと観察する姿も見られました。



その後は、あらかじめ捕獲し、熟成させておいたシカを使って、皮むき、解体、そして肉から骨を外し、筋を取り除く「精肉作業」に取り組みました。
※これらの作業はすべて希望者のみで行っており、見学を強制することはありません。
2日目の夜ごはんは、参加者の皆さんが捌いたお肉で、シカ焼肉、シカカツです!
(スタッフ総力で調理していたため、写真を撮りそびれてしまいました…)
塩麴やたれに漬け込んだ焼肉と、衣をつけて揚げたカツは大好評。
自分たちで捌いたお肉は思いも美味しさもひとしおですね。
お腹いっぱい食べて、二日目が終了しました。



3日目は、富士山麓で獲れたシカの革でキーホルダー作りを行いました。
好きな色の革を選んで、文字や模様の刻印していきます。
木づちでトントントン…
世界に一つだけのお土産が完成しました。

昼ごはんは、シカ肉のボロネーゼパスタ。
圧力鍋を使って柔らかくしたシカ肉をたっぷりの野菜と一緒にパスタソースにしました。
最後に、みんなで今回のキャンプのふりかえりをしました。
お子さんからは、
「キーホルダー作りが楽しかった」
「焚火が楽しかった」
お父さんお母さんからは、
「シカを見て可愛いと思ったが、殺さないといけなくて可哀そうと思った。でも解体してみると、骨関節の動きや筋肉には知的好奇心をくすぐられたり、いろんな経験ができて楽しかった。」
「自分と子どもと、違う価値観に気づけたことが良かった。」
「狩猟という生き方の話を聞けて良かった。」
「誕生の瞬間はニュースになるけれど、命をいただく瞬間はニュースにならない。そういう体験ができてありがたかった」
という感想をいただきました。
今回のキャンプでは、森にわなを仕掛け、捕まえたシカを解体し、いのちをいただく。
そんな猟師の暮らしを、自分の手を使って体験していただきました。
私たちは日々、いのちをいただいて生きている。
当たり前のことに改めて気づき、
毎日の「いただきます」「ごちそうさま」の言葉に、
いのちや、それに関わるすべての人への感謝の気持ちを込めて、
美味しく食べてもらえるきっかけになれたら嬉しいです。

◆今回のキャンプの概要はこちら
◆Instagram,X(旧Twitter),Facebookでも情報を発信しています!
担当:堺