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森のこけこっ子キャンプ

2019年11月11日

 ホールアース自然学校は、岐阜県立森林文化アカデミーから委託を受け、来年度オープンする森林総合教育センター(愛称:MORINOS・モリノス)での試行プログラムを行っています。その1つとして、8月から10月にかけて3回・のべ5日間で、『くらしをつくる森のこけこっ子キャンプ』を実施しました。

 

 このプログラムは、ホールアース自然学校が37年の歴史の中で大切にしてきた、「家畜動物と共にある暮らし」をアカデミーのフィールド・資源と組み合わせることで、どのようなキャンプができるのか。運営側も初めての試みでしたが、家畜を介することで、参加者同士の関わり方に何らかの変化を与えることができるのではないだろうか、という気づきを得ることができました。

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 参加者は岐阜県内の小学1年生から6年生まで、抽選で選ばれた26名で、ほとんどがアカデミーに初めて来た子どもたちばかり。最初はみんな緊張した面持ちでした。

 続いて、今回のキャンプの大切な仲間である、ヤギとニワトリたちとご対面。ヤギは美濃市内より借り受け、ニワトリはホールアース自然学校より4羽連れて行きました。初めて間近で見るヤギの大きさにビックリしたり、柵越しのニワトリに恐る恐るエサをやる子どもたち。さらに、今回は当日朝までに孵化したばかりのヒヨコ5羽も加わり、子どもたちの目はヒヨコに釘づけに。

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 第1回目では、動物の世話に加えて、川遊びや虫捕り、モノづくりなど、子どもたちがやりたいことを最大限尊重し、アカデミー内のフィールドを知ってもらいました。

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 続く第2回目は日帰りで実施しました。「前回見たヒヨコがどうなっているかと予想して絵を描いてくること」を宿題として出しました。それぞれ想像しながら、描いてきた絵をみせてもらいました。黄色のままの子がほとんどでしたが、中には白いニワトリになっている子も。第2回のメインプログラムは昼食作り。卵を自分で割ってスクランブルエッグを作り、鶏肉を切って野菜と一緒に煮込んでスープを作りました。鶏肉は部位ごと(モモ、ムネ、ササミ)の特徴を知った後、実際に包丁で細かく切って鍋で煮込みました。「気持ち悪い」と言っていた子どもや、皮を切るのに悪戦苦闘する子どもなど、慣れない手つきでも一生懸命作りました。鶏肉を切る場面では「部位によって肉の柔らかさが違う、切れやすさが違う」といった発見もありました。

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 ふりかえりではヒヨコを抱きかかえて、一人一人の手から手へ回していきました。ヒナの大きさ、重さ、ぬくもりを自分の身体で感じます。次回は1ヶ月後、このヒヨコがどう育っているかが待ち遠しいねと話して終了です。

 そして迎えた第3回目。最終回となる3回目は、くらしの中で大きな要素である、「食」と「住」に焦点を当てて、①ニワトリの屠畜・解体の体験と料理づくり、②自分たちで考えて行う野宿体験をメインに行いました。

 野宿は「あるものでやってみる」ということで、段ボール、銀マット、寝袋、ブルーシートを基本資材としつつ、それぞれが創意工夫を凝らして一夜限りの野宿に向けた準備を行いました。グループによっては、廃材を加工する、立木を使う、鉄の支柱を使うといった、それぞれのチャレンジが見られました。

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 2日目。ニワトリの屠畜・解体を行いました。朝の動物のお世話タイムに、この後屠畜・解体するニワトリを小屋から出し、ケージに移します。今回は雄雌それぞれ1羽、計2羽をいただきます。そしてついに屠畜・解体の時が来ました。自分の気持ちを大事にしてほしい、ということで、見たくない子どもは少し離れたところで背を向けていても良いとしました。中にはスタッフの後ろでじっと様子をうかがう子や、ヒヨコのところに行って卵を見つけた子もいました。自ら止め刺し(絶命させる)の役割を希望した子どもも、これまでにない真剣な表情でニワトリと向き合いました。一人ひとりが、それぞれの気持ちで目の前のニワトリの命と向き合い、解体の作業を行っていきました。

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 羽をむしり、皮を剥ぐと見慣れた肉の部位が見えてきました。この頃になってくると、子どもたちの気持ちにも少し余裕が生まれてくるのか、笑顔が戻ってきました。そして精肉して余すところなく料理し、みんなそろって大きな声で「いただきます!」を言って、鶏肉料理のフルコースを食べました。最初はみんな無言で、味わって食べていました。比較のため買ってきた市販の鶏肉と食べ比べると、さばいたばかりの肉は弾力があり、味が濃くておいしいとの反応が多かったです。

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 楽しかったキャンプもいよいよ最後。先ほどのニワトリの屠畜・解体を通して、「命をいただく」のふりかえりを行いました。多くの子どもにとって強い印象を与えたことは間違いなく、でもそれは決してネガティブなことばかりではなく、「いつも誰かがしていること、感謝したい」「食べ物を大切にしようと思った」といった感想も聞かれました。そして最後にこれまでのキャンプ全体をふりかえり、スタッフからもお礼のコメントを言ってキャンプは無事終了しました。

 

 「くらしをつくる森のこけこっ子キャンプ」は3回連続で、同じ子どもたちが参加するという、初めての試みでした。子どもたちはもちろん、スタッフ自身も大きな気づき・学びを得ることができました。子どもたちからは「来月もあるよね」「来年はいつやるの?」といった、嬉しい言葉も聞かれました。

 ホールアース自然学校では、引き続き、アカデミーと協働しながら、モリノスが目指す「すべての人と森をつなげ 森と暮らす楽しさ、森林文化の豊かさを次世代に伝えていく」ことの実現に協力していきます。

大武ウォーリー

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【森林文化アカデミー 森林教育の総合拠点名称が決定】

https://www.forest.ac.jp/academy-archives/morinos/


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