【実施報告】福島県にてクマの講習会を実施「ツキノワグマを知って、正しく備える」

森林環境教育実践者研修会を実施しました

8月20日、福島県の「ふくしま県民の森 フォレストパークあだたら」にて、森林環境教育実践者研修会の一環として、「ツキノワグマを知って正しく備える」をテーマにした研修を実施してきました。
近年、福島県内ではツキノワグマの出没が相次いでいます。
その影響もあり、学校や自然体験の現場では、「クマが心配だから、森に入るのはやめておこう」と、自然体験の機会そのものが減ってしまうケースもあります。
一方で、クマが生息する地域だからこそ、私たちがクマのことを正しく知り、必要な備えをすることが大切です。
今回の研修では、自然体験や森林環境教育に関わる方々を対象に、ツキノワグマについて「知る」「見る」「体験する」「考える」という4つの視点から学びました。

まずは、ツキノワグマを知る

はじめに、ツキノワグマの生態や行動、季節による変化、人との遭遇を避けるために知っておきたいことなど、現場で自然体験を行ううえで基本となる知識を学びました。
「クマは怖い」というイメージだけで判断するのではなく、どんな動物なのかを知ること。
それが、適切なリスク判断や備えにつながります。

フォレストパークあだたらのクマ対策を見学

続いて、フォレストパークあだたらで実際に行われているクマ対策について、施設を歩きながら見学しました。
クマの侵入を防ぐための設備など、実際のフィールドでどのような対策が取られているのかを確認。
「クマが出る可能性がある場所で、どのように人が自然を楽しむのか」。
その具体的な取り組みを見ることで、それぞれの職場や活動フィールドでできることを考えるきっかけになりました。

フィールドに出て、クマの痕跡を見る

実際にフィールドへ出て、ツキノワグマのフィールドサインも確認しました。
木についた爪痕や食痕など、野外で見つけられる「クマの痕跡」。
こうしたサインを知っているだけでも、フィールドに入ったときの見方は大きく変わります。
「ここにクマがいるかもしれない」と考えるためには、まず、その存在を感じ取るための目を持つことが大切です。

クマよけスプレーを実際に噴射

そして今回の研修では、クマよけスプレーの噴射体験も行いました。
実際に使ってみることで、噴射距離や勢い、扱う際の注意点など、座学だけでは分からないことを体験的に学びます。
「知っている」と「実際にできる」の間には、大きな違いがあります。
いざというときに慌てないためにも、こうした体験の積み重ねが大切です。

最後は、みんなで考える

研修の最後にはグループワークを行い、それぞれの現場で感じている課題や、今後の自然体験・森林環境教育をどのように実施していくのかについて意見交換を行いました。
参加者からは、学校や施設での具体的な場面を想定したさまざまな意見が出されました。
クマ対策に「これだけやれば大丈夫」という一つの正解があるわけではありません。
だからこそ、それぞれのフィールドの環境や活動内容、参加者の年齢などに合わせて、リスクを考え、備えていく必要があります。

クマがいる森だからこそ、学べること

今回の研修は、福島県森林・林業・緑化協会の森林環境教育支援事業の一環として実施されました。
現場で子どもたちと自然に関わる教職員の方、森林施設を運営する方、自然体験活動に携わる方。
そうした「自然と人をつなぐ人たち」が、ツキノワグマについて正しく知り、自分たちのフィールドでできる備えを考える。
それが、今回の研修の大きな目的でした。
自然の中には、クマをはじめ、さまざまな野生動物が暮らしています。
だからといって、自然から遠ざかるのではなく、

知ること。
備えること。
 そして、自然との付き合い方を考えること。


その積み重ねによって、これからも子どもたちが森に入り、自然を感じ、学ぶ機会を守っていけるのではないでしょうか。
今回の研修が、参加された皆さんそれぞれの現場での新たな一歩につながればと思います。
ホールアース自然学校では、これからも野外活動や自然体験の現場で必要となる「野生動物との付き合い方」や「自然の中でのリスクマネジメント」について、実際のフィールドで学ぶ研修を行っていきます。
自然を遠ざけるのではなく、正しく知って、自然とともに歩いていく。
そんな学びの場を、これからもつくっていきたいと思います。

投稿:浅子