STORY01
競争の世界へ
大学を卒業し、一部上場企業での社会人生活が始まった。100人を超える同期が横一列でスタートを切る競争のスタートだ。「競争」はあくまでぼく自身がつくった幻想という部分もあったが、大学を出たてのまだ若いぼくたちは、皆同じように成果をあげ認められたいと思っていたものがほとんどだったと思う。
社会人になる前、学生時代も常に競争があったが、ぼくはその競争意識が社会人になりより強くなった。競争の意味を深く考えることなく、そこはかとない不安を見ないようにしながら、目の前の競争に向かっていた。
学生時代を思いだしても、勉強しかり、部活しかり、競争が自分自身をよい方向へと成長させてくれたことは間違いない。ただ今ふりかえって思うことは、競争だけではある限度までしか人は成長できないということだ。競争によっていきつける場所には限界があり、本当の意味で人とつながり、協力し支え合うことができれば競争の限界ラインを超えていくことができる。しかし、社会人になった当時のぼくにはそんなことを考える余裕はなかった。周りから評価してもらうために、同期から認められるために、ぼくは一生懸命働いた。